#24 仕事を依頼するときの鉄則

2020年 3月 2日(月)

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今日から動物看護学校の実習生が実習に来てくれることになりました。病院業務のお手伝いをしてもらっているのですが、
スタッフからの指示出しで気になることがあったので紹介したいと思います。

これは聞いたことある話かもしれませんが、
仕事の場で実践できている人は多くはないんじゃないかと思うので投稿させて頂きます。

 

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3人のレンガ職人の話
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世界中をまわっている旅人が、ある町外れの一本道を歩いていると
一人の男が道の脇で難しい顔をしてレンガを積んでいた。

 

旅人はその男のそばに立ち止まって、

旅人:「ここでいったい何をしているのですか?」

と尋ねた。

 

男:「何って、見ればわかるだろう。レンガ積みに決まっているだろ。
朝から晩まで、俺はここでレンガを積まなきゃいけないのさ。
あんた達にはわからないだろうけど、暑い日も寒い日も、風の強い日も、日がな一日レンガ積みさ。
腰は痛くなるし、手はこのとおり」

男は自らのひび割れた汚れた両手を差し出して見せた。

 

男:「なんで、こんなことばかりしなければならないのか、まったくついてないね。
もっと気楽にやっている奴らがいっぱいいるというのに・・・」

旅人は、その男に慰めの言葉を残して、歩き続けた。

 

もう少し歩くと、一生懸命レンガを積んでいる別の男に出会った。
先ほどの男のように、辛そうには見えなかった。旅人は尋ねた。

 

旅人:「ここでいったい何をしているのですか?」

男:「俺はね、ここで大きな壁を作っているんだよ。これが俺の仕事でね。」

旅人:「大変ですね」

旅人はいたわりの言葉をかけた。

 

男:「なんてことはないよ。この仕事のおかげで俺は家族を養っていけるんだ。
ここでは、家族を養っていく仕事を見つけるのが大変なんだ。
俺なんて、ここでこうやって仕事があるから家族全員が食べていくことに困らない。
大変だなんて言っていたら、バチがあたるよ」

旅人は、男に励ましの言葉を残して、歩き続けた。

 

また、もう少し歩くと、別の男が活き活きと楽しそうにレンガを積んでいるのに出くわした。

 

旅人:「ここでいったい何をしているのですか?」

旅人は興味深く尋ねた。

 

男:「ああ、俺達のことかい?俺たちは、歴史に残る偉大な大聖堂を造っているんだ!」

旅人:「大変ですね」

旅人はいたわりの言葉をかけた。

 

男:「とんでもない。ここで多くの人が祝福を受け、悲しみを払うんだぜ!素晴らしいだろう!」

旅人は、その男にお礼の言葉を残して、また元気いっぱいに歩き続けた。

 

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目的意識って大事だよねって話ですね
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3人のレンガ職人への「何をしているか」の問いかけに対する答えから、次のようなことが分かります。

 

1番目のレンガ職人:「レンガ積みに決まっているだろ」→特に目的なし

2番目のレンガ職人:「この仕事のおかげで俺は家族を養っていける」→生活費を稼ぐのが目的

3番目のレンガ職人:「歴史に残る偉大な大聖堂を造っている」→後世に残る事業に加わり、世の中に貢献することが目的

 

この中で一番モチベーション高く仕事をしているのは、明らかに3番目の職人ですよね。

目的がしっかりしていて、その目的を果たすためにどのような貢献ができるのかを自分で考えるからこそ、
より良い仕事をしようとその仕事に積極的に関わる姿勢が生まれます。

これは自分が作業者(レンガ職人)になる場合はもちろん作業の意図を汲んで、
3番目の職人のように仕事をするのが望ましいですよね。

 

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指示を出したのは誰だ!
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ただ、これは見方によると、指示を出した人が微妙だった可能性もありますよね。
1番目の人も2番目の人も、もしかしたら大聖堂の話は聞いてないかもしれません。

指示を出す側は

「なぜ(Why)」

「何を(What)」

「どのように(How)」

を意識することが大切ですよね。

相手によっては、あえて教えないと言うこともありますが、基本的には全て網羅して伝えるのがベターだと思っています。

 

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今日気づいた具体例で言うと…
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実習生には、耳の洗浄液を小さいボトルに小分けしてもらっていました。(耐性菌が蔓延しないために)
この作業を黙々とやってもらっていたので、何をしているか聞くと

「耳の洗浄液を小分けにしています」

と返ってきました。これだと仕事ではなく、単純作業ですよね。

 

なので、

「耐性菌って知ってる?動物病院業界では耐性菌が年々増加しているんだ。
耐性菌が原因で治療がうまくいかない子もいるなんて可哀想だよね。
実は、耐性菌が増えている原因に、動物病院での蔓延の可能性が指摘されているんだよ。

ボトルから小分けにするのは時間もコストも掛かるから、実施出来ていない動物病院もあるけれど、
ウチは動物のためにしっかり取り組んでいきたいと思ってる。
未来の動物を救うために、この小分けをお願いして良いかな?」

と頼み直しました。

 

この後、小分けのスピードが上がったとか上がってないとか…(そこまでは知りません。笑)
ただの単純作業になるのか、動物を助けるための作業になるのかは、伝える人の手腕によるところが大きいと思います。

 

僕は基本的につまらない仕事などないと思っているのですが、
仕事をつまらなくする事は幾らでも出来ちゃうと思っています。
なのでマネージャーと言う職種はとても重要であり、動物病院にもマネジメントが広まると良いなと思っています(^^)

 

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スティーブ・ジョブズの伝説
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ちなみに、ただの単純作業をとんでもない偉業に変えた例として、スティーブジョブスの逸話を聞いたことがあります。
初代iPhone(確か)の製作中の話で、全てがイノベーディブな仕事ではないので、単純作業も相当多かったそうなんです。

そこで作業に関わった人たちの名前を残すと宣言したそうです。

 

「みんな!ゴールはもうそこまで見えている。人類の未来を変えるプロジェクトに名前を残そうじゃないか」

 

これは一気に単純作業じゃなく感じそうですよね…!戦国武将はこういう人達だったんだろうな、と感じました(^^)

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補足

当コラムは過去に限定コミュニティ『もしもMBAホルダーが動物病院を経営したら』内で配信していた記事のリバイバルです。

元臨床獣医師の豊田が、動物病院業界は『動物を笑顔にする人を笑顔にする人が足りない』という課題を持って起業、その後MBAホルダーとなり、満を辞して動物病院の経営を開始(2019年10月)しました。

このコラムでは、実際に動物病院を経営してみた気づきや取り組み、戦略戦術をノンフィクション経営物語として公開していきます。ビジネス的な考察や、他事業についても紹介していきます。

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