
#45 オペレーションマネジメント
2020年 4月 29日(水)
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今日は僕が大好きなオペレーションの話です。意外と知られていないですが、オペレーションって経営の肝だと思います。
オペレーションが優れている代表は、『大手牛丼チェーン』です。
日本の牛丼屋のはしりは吉野家で、当初は『アメリカでは捨てていた牛の部位を安く仕入れて、牛丼にした』
というのが勝ち筋でした。ようは、仕入れコストありきの『安い』ビジネスモデルです。
その後、周囲が真似するようになり、安く仕入れが出来なくなってきたため、磨きを掛けたのが『早い』です。
完璧なマニュアルを作り、どうやったら1秒早く出来るか、を研究し、現場に落とし込んでいきました。
今では、大手牛丼チェーン3社には、日本語に不慣れな外国人店員でも店舗を効率的に運営できるノウハウがあるわけです。
(それに頼り過ぎて起こったのが、ワンオペ問題なのですが。)
■ 補足:すき家が台頭したのは、マーケティングの妙だと言われています。
『牛丼=男』というイメージを逆手にとって、女性と家族連れをターゲットにする事で大成功を収めたわけです。
マーケティングもおもしろい…!!
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オペレーションのポイントは?
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『生産性向上』が一番重要です。
生産性の計算式は、「生産性=産出(output)÷投入(input)」です。
動物病院で言うと、売上や診察件数だけ見てると見誤るので、何人で回せるか、もとても重要だよねって話だと思います。
職場で『1人増えたのに何も変わらない…』って経験した事ありませんか?何なら、「余計忙しくなった!」みたいな。
これは生産性向上するための方程式を確立出来てないまま、人海戦術に頼ってしまったため起こる失敗ですよね。
なので、『なぜ忙しいか?』をひたすら突き詰めていくのが大切です。(ボトルネックはどこか、を見定めるって事です!)
ボトルネックは写真のように、詰まっているところの事を指し、それを解消すると良いよって事ですね!

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動物病院診察のボトルネックは?
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僕は『電話対応』だと強く思っています。僕が現場にいたときも、電話対応に追われまくりでした。
ある日、院長が2回線から5回線に増やした時は、「その対策は絶対違う!」と思った事を覚えています。笑
診察も忙しいのに、電話も取らないといけなくて、「3コール以内に出て下さい」とか指示されちゃったりして、もうてんやわんや。
診察回さないといけないから、電話も短く切るように心がけないといけなくて、飼い主さんの満足度も下がるし、
という負のスパイラル。これ何とかしないといけないよなって思っていました。
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サーカス動物病院の対策は?
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現場じゃない人も電話を取れるようにしました。現場スタッフ以外に、オフィス業務者がいるので、
その方が電話に出られるよう調整しました。(最初は、4コール以上なったら出るというルールから始めます)
トークスクリプトを作り、対応のアクションプランも決めてみました。
現場対応が必要なのは、3割くらいの電話なんじゃないかと仮説を立てています。
診察件数が増えてきたら、本格的なコールセンターを作りたいなと思っています。
(動物病院向けのサービスをやっても良いかも)
『電話を取らなくて良い動物病院です』
って言われたら、「おっ、働いてみたいかも」って思いません(^^)?
少人数の動物病院では難しいですが、ある程度の人数がいたら、
『電話当番兼●●』というスタッフを入れちゃうのが良いんじゃないかと思ってます。(動物看護師も人材不足ですしね)
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まとめ
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現場のスタッフに「忙しいから人増やして欲しい」と言われたのですが、
そこで人を増やしたら経営者の存在価値なんて無いと思います。
「何故忙しいか」
「どこがボトルネックなのか」
を見極めて、適切な対処をするのが
『オペレーション・マネジメント』と呼ばれる分野です(^^)
電話当番、電子カルテ、調剤師、インフォームツール、、動物看護師、獣医師、掃除当番、DR、血液検査との連動etc。
どれがボトルネックかが重要です。
今回の電話当番制度を導入して、生産性が向上するか、またご報告しますね。
ちなみに、僕がオペレーションが好きなのは、僕がADHDである事も関係していると睨んでいます。
ADHDは、『効率が悪い』『合理的じゃない』というのが嫌いで、気持ち悪くなるんです。
なので、世の中の不条理も気になって、世の中のルールを変えたくなるので、
経営者にADHDなどの発達障害者が多いんじゃないかなと思います。(要は、『受け入れる力』が弱い。笑)
そんなこんな、『何かこのスタッフは、他の人と違って言われた事を出来ないなあ』という方がいたら、
生産性向上を考えてもらうのに適任なスタッフかもしれません!長所を生かしたマネジメントをしてあげてくださーい(^^)
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補足
当コラムは過去に限定コミュニティ『もしもMBAホルダーが動物病院を経営したら』内で配信していた記事のリバイバルです。
元臨床獣医師の豊田が、動物病院業界は『動物を笑顔にする人を笑顔にする人が足りない』という課題を持って起業、その後MBAホルダーとなり、満を辞して動物病院の経営を開始(2019年10月)しました。
このコラムでは、実際に動物病院を経営してみた気づきや取り組み、戦略戦術をノンフィクション経営物語として公開していきます。ビジネス的な考察や、他事業についても紹介していきます。

